徒歩・徒然

2008年6月下期


2008年6月16日(月)

映画 「ヤーチャイカ」 (2008年・日)

次々に映し出される写真と、音楽とナレーションで進む作品です。

「ヤーチャイカ」とは、ロシア語でカモメのこと。この題名の意味については、ここでは書くのをやめておきましょう。

とある村に流れて来た「男」と、そこの小さな天文台で働いている「女」。新しい彗星を発見するために、夜空を見上げます。

普通に動く画の作品では、人の心の中の声を表に出すのは、とても難しい。でも、この作品は、その性格ゆえに、それが無理なく出来てしまう。だから、彼らの心の動きが追いやすい。

みんなの表情が、とても良い。動かないので、じっくりと見ていることができます。ごく普通の笑顔と、深い感情を湛えた微笑みと、その辺りを きちんと ものに出来ている皆さんが、すごい。

心に触れてくるものに優しさが感じられたのは、語り口が、いわゆる「です・ます」であったからだと思います。次々に溢れる言葉に溺れそうになっても、なんとか踏みとどまることが出来ました。最後の音楽を聴いて、それが いつまでも耳に残っていました。

 監督:覚和歌子、谷川俊太郎
 原作・語り:覚和歌子
 脚本・編集:覚和歌子、谷川俊太郎
 写真:首藤幹夫
 音楽:丸尾めぐみ
 キャスト:香川照之、尾野真千子、コモブキイチロウ、高松いく ほか

このような、動かない写真で組み立てられた作品においては、どこかに動く画を そっと置いてみたい、という ある種の誘惑が、作り手の心に巣くってしまうのかもしれません。その誘惑には、やっぱり、贖い切れなかったのかなあ、と思います。同じ手法の作品として、“La Jetée” というフランスの映画を観たことがありますが、その中でも やはり、同じことが起こっていました。


映画 “Du levande” (2007年・スウェーデン=仏=デンマーク=独=ノルウェー=日)

おそらく、筋はありません。

色々な人たちを追って画面は進みます。どこかの部屋の中とか道端とかバス停とか店の中とか、カメラが据えられて、しばし そこでの出来事を写す。時折、そこに居る人が こちらに向かって語りかけてきたり、突然、夢の中の話になったりします。そして、余韻も残さず、場面は、ふっと次のところへ移ってしまいます。

出来事や人のお喋りも、捉え所がなくて、一本スジが違っているような、どこかに飛んで行ってしまいそうな、何とも言えない感じです。ワケが分からない。ちょっと可笑しいようにも見える。

僕の場合は、出てくる人たちに、感情が どうにも乗り移らないままでした。可笑しくって、くすっとなることはあっても、まるでガラス窓越しに舞台を見ているように、もっと近寄って行ける感じは、しない。ちょっと残念ながら。

音楽は良かった。セットの色使いは、うら寂しい感じで物足りなかった。人のメイクアップは、少し極端な感じがした。

最後の場面の飛行機の編隊は、一体なんだったのか。あとでプログラムを読んでみたら、監督さん自身の言葉で語られていました。なるほど! と思ったものの、それを全く感じ取れなかった自分の感性に、ちょっと がっかりなのでした。

 邦題:「愛おしき隣人」
 監督・脚本:Roy Andersson
 撮影:Gustav Danielsson
 編集:Anna Märta Waern
 音楽:Jan AlvermarkRobert Sorling
 出演:Jessika LundbergElisabet HelanderBjörn EnglundLeif Larsson ほか


2008年6月17日(火)

スーパーマーケットで適当に買い物をしたら

― ちょうど1300円 ―

いや、別段、珍しいことでもないんですけど、ちょっと いい気分だったもんで。


2008年6月19日(木)

電車で、完全に立って寝てる人が居た。吊革につかまりながら。

器用なもんですねぇ。


2008年6月20日(金)

10:00pm CEST (21-6-2008, 5:00am JST)

夜10時なのに まだまだ明るい。

― Oslo中心部の宿の部屋から ―

……というわけで、今、北欧はノルウェーに遊びに来ております。今日は首都Oslo
実は、久し振りの海外一人旅です。2002年の6月にアメリカ西海岸を走り回って以来だから、6年ぶりですか。この間も毎年のように どっかに出掛けてはいますが、友人か両親と一緒に行っていたもので、お一人様のお気楽様は ずいぶんと久し振りになります。

さて、今回の旅行は、それはそれは贅沢なものになる見込みです。ただでさえ物価の高い北欧に、白夜の季節に乗り込んで来ました。全部で 一体いくら掛かるか、計算するのも恐ろしいので、もう数えないつもりでいます。こないだうち、ヘンな出費が続いたもんですから、ケチケチ貯め込んでたって どうせ オカミに吸い上げられちゃうんだ馬鹿馬鹿しい、と、ヤケクソになって日本を飛び出してきました。

よーし。今日から夏至の北欧を満喫するぞ。おー。


2008年6月21日(土)

9:00pm CEST (22-6-2008, 4:00am JST)

― 城の名前はAkershus ―
Akershus城にて)

Osloの街を歩いてみました。

街は小ぢんまりしていて、一通りの見所は歩いても充分に廻れるように感じました。あまり人も多くなく、いわゆる「都会の喧騒」とは無縁の印象があります。


散歩の途中で、道を尋ねられました。「すみません。Frogner公園は何処でしょう?」(英語で)

いや、私も初めて来た街ですので(適当に歩いていて、自分が今いる場所も分かってなかった)。

どうやら、歩いている場所や格好から、旅行者だと思われなかったらしい。
(宿へ帰って地図を良く見てみたら、あの場所から少し南西方向へ行けば良かったようです)


《トイレ騒動、ふたたび》

上に写真を載せた Akershus城のトイレ。

― どっち? ―

写真のサイズを小さくしてしまったため見辛いですが、扉の覗き窓のようなところに文字の形の金物がはめ込んであります。左の扉が “HERRER”、右の扉が “DAMER” です。

さて、男性用は どっちなんでしょう?

その覗き窓の文字の隙間から中が見えるのですが、中の部屋はL字型に曲がっていて、どうやら その奥に男性用の小便器があるらしく、どっちも、扉の正面の座る便器の部屋が確認できるだけで、差が分かりません。

たしか、ドイツ語では 男性の敬称に Herr〜てのがあった気がするな。それと同じような語源から ノルウェー語にも単語が生まれたとすると、左が正解か? でも、確信は持てません。

どうしたものかと佇んでいると、一人の女性がスタスタと歩いてきて、右の “DAMER” の方に入って行かれました。これで正解が分かりました。良かった。

トイレの男女の別の表示には 大抵 図や記号が使われるから大丈夫とタカをくくっていたら、この有様です。せめて、この程度の現地語は調べてから旅行に出掛けましょう。


2008年6月22日(日)

7:00pm CEST (23-6-2008, 2:00am JST)

E6と呼ばれる道を北へ向かってます。

― 場所はイマイチ不明 ―

ずーっと田舎ですね。大きい街も あまり無いし。

まだまだ雪の残っている山が沢山あります。針葉樹が一面に続く風景は、まさに北欧。


途中、1994年に冬季オリンピックが開催されたことで知られる Lillehammer を通りました。河の畔に広がる町です。

あのジャンプ台(「途中で落ちてしまった!」)も、山の上のほうに そのまま残っているのが見えました。


2008年6月23日(月)

7:00pm CEST (24-6-2008, 2:00am JST)

― 兵どもが……とか言いたくなる ―
Steinvikholmにて。
Trondheimから、入り江を ちょっと北東側に入った辺り)

かつては、海に浮かぶ堅固な要塞でした。いま、狭い木の橋がかかっていますが、潮が引いてると、橋じゃないトコを歩いても渡れてしまいます。その昔、兵隊さんたちは、引き潮を見計らって移動していたのでしょうか。


ついでと言ってはナンですが、ちょっとだけスウェーデンにお邪魔してみました。

― 国境の河と山 ―
(国境付近からノルウェー方向を望む。近くには、Storlienというスウェーデンの村がありました)

ただ、ここが国境ですという印みたいなものが何も無いので、どこが国境線なんだか、正確には分かりません。

「シートベルトを締めましょう。走行中はライトを点けましょう」という看板が、スウェーデン語のとノルウェー語のと、それぞれ お互いの国に入るクルマに見えるように立ってるんですけど、その二つが ずいぶんと離れた所に立ってまして、ま、その間のどっかが国境線なんだろうな、ということしか分かりません。

両方の国とも、細かいことは気にしない関係になってるみたいですね。

ついでながら、スウェーデンの方の看板は、英語とドイツ語とフランス語が併記してありました。ノルウェーの方のは ノルウェー語だけ。一見するとスウェーデンの方が親切そうですが、4ヶ国語がズラッと並んだ中から お目当ての物を探す(90km/hで走行中に!)のは かなり難しいので、親切の度合いは どっちもどっち と言ったところです。


2008年6月24日(火)

4:30pm CEST (11:30pm JST)

引き続き、北へ向かってます……んですが……

― 例によって、場所がハッキリしない ―

……冬みたい。

現に、昼間でも10℃切ってるようなところもありました。さすが北国。


びっくりしたこと。

― 風雪に耐えられるのでしょうか? ―

たまたま気付いたんですが、ガードレールの柱が木で作ってあります。こんな厳しい気候の土地で、すごい。


2008年6月25日(水)

7:00pm CEST (26-6-2008, 2:00am JST)

ついに、北緯66度33分を通り過ぎ、北極圏に入りました。

― 実は、鉄道線路も走っています ―

写真は、どちらかと言うと南西方向を見ていると思います。つまり、写真の右の方が北極の方向です。画面の上から3分の1ぐらいのところを横に 北緯66度33分の線が走ってる、と思ってくだされば良いです。

E6の北極圏突入地点の周りは、荒涼とした風景が広がっていました。その辺りだけ、はかったように森が無くなるんです。しばらく北へ行くと、また木々が現れるんですけども。

ちなみに、北緯66度33分の緯線のことを、英語では Arctic Circle、ノルウェー語では Polarsirkelen と呼ぶそうです。

それにしても、天気が悪いです。そんなに日頃の行いが悪いのか。


― 写っているクルマは僕のじゃありません ―

E6は、途中、海のところで途切れている箇所が一つあります。Tysfjordenという小さなフィヨルドの入り口、BognesからSkarbergetまで。

そこは、みんなフェリーで運んでもらわなければいけません。20分ほどの船旅です。港に並んでいると、係の人が料金を集めに回ってきます。小型車は85kr=約1700円(クレジットカードはダメらしい)。一応、船の中には小さな売店があったりします。


2008年6月26日(木)

27-6-2008, 0:00am CEST (27-6-2008, 7:00am JST)

ついに到達しました。

― 地球のモニュメントを望む ―

北緯71度10分21秒。かの有名な Nordkapp(ノールカップ・ノルドカップ)です。最○端バカとしては、一応、押さえておかなければならない場所でしょう。これ以上、僕が北へ行くのは無理なんじゃないかと思います。

ただし、ヨーロッパ最北端ということになってはいますが、本当の最北端は、一つ西側の岬、Knivskjelloddenです。しかし、そこへ行くには、Nordkappへ至るE69の途中から片道4時間の道のりを歩かなければいけないということで、時間が無いので断念。

さらに付け加えると、NordkappKnivskjelloddenがあるのは Magerøya と呼ばれる島なので、“ヨーロッパ大陸”としての最北端は、60kmほど東のKinnarroddenという岬になります。しかし そこは、さらに到達が困難な場所なので(歩く道が、あまり きちんと整備されてないらしい)、やっぱり断念。

それにしても、ものすごい天気です。霧と雨と風と寒さ。僕が行く時を狙って お天道様が 荒天をぶつけてきたようです。ひどいや。


現在は、Altaという町まで戻って 白夜を体験中です。ホントに真夜中なのに明るいです(ただし、空は一面の雨雲で、太陽は ぜんぜん見えてません。ひどいや)。


2008年6月27日(金)

10:00pm CEST (28-6-2008, 5:00am JST)

フィヨルドが作り出す風景は、本当に雄大です。

― 道は、海岸線に沿って走ります ―

高くそそり立つ両側の山、そして、その急斜面を駆け下る いく筋もの雪解け水が壮観です。今回は、大きなフィヨルドが集まっている西部地方には行けませんが、それでも、日本では ちょっとお目に掛かれない自然の造形に、目を奪われっ放しです。


最北端ついでに、もう一つ。

― まるで無人駅のようでした ―

ヨーロッパ最北の鉄道駅として知られる、Narvikの駅です。列車に乗って来て降り立ったのでないのが悲しいですが、仕方がありません。

列車の発着は一日6往復のみで、19:30には駅舎も閉まってしまいます(写真は、20:00ごろの風景)。それでも、しれっとプラットフォームに入れてしまうのが外国ですね。

ちなみに、Narvikは人口が2万人ほどで、こんな北の果てで よく みんな暮らしてるなと思うくらい、それなりに大きい街です。なのに 列車の発着が これだけ少ないのは、ひとえに、ノルウェーの他の地域と路線が繋がってなくて、需要が限られているからだと思います(要するに、この駅から列車に乗っても、スウェーデンへ抜けて行くしかないんですね)。


2008年6月28日(土)

11:00pm CEST (29-6-2008, 6:00am JST)

― この辺りの家の人は、どういう暮らしをしてるんだろう ―

Tysfjordにて。今日は いい天気!


― 地球のモニュメントが片っぽ取れてる ―

3日前にも通過した、北極圏突入地点。この写真は、E6の道の両側に立つ“しるし”です。あまり趣は無いですけど……

今日は良く晴れ渡っていて、全然 雰囲気が違いました。気温も17℃ありました(こないだは4℃)。

というわけで、もと来た道を逆に戻っています。旅行も終盤に近づいてきました。


2008年6月29日(日)

11:30pm CEST (30-6-2008, 6:30am JST)

今回 最後の訪問地、Sandefjordにて。

― 夜の波止場 ―

夜10時ごろの港の風景です。だいぶ南に下がってきたとは言え、やっぱり まだまだ明るい。

何故こんな街に居るかと言いますと、「東京―オスロ 単純往復」の飛行機の切符を頼んだはずなのに、どうしたわけか帰りの搭乗地が Sandefjord空港になってしまったのです。チケットには Oslo / Sandefjord と書いてあって、まるで すぐ傍みたいな雰囲気ですが、オスロからは列車で2時間の距離があります(その列車の切符が また高くて、片道で6500円)。

ま、「東京 / 成田」みたいなもんだと思えば、腹も立ちませんが。

というわけで、明日の朝の飛行機でノルウェーを発ちます。お世話になりました。いやー、でも、来て良かったです。

― 夜の住宅地 ―

最後の夜でもあるので、ちょっと街を散歩してみました。感じの良い住宅街が広がっていました。


もう返しちゃったんで遅ればせながらですが、今回のエスコート役は この子でした。

― Volkswagen Polo ―

Volkswagen Polo です。たまたまなのか、レンタカー会社の戦略なのか、地球に優しい(?)ディーゼル車が当たりました。こちらでは、ディーゼルエンジンの設定があるんですね。4500kmの お馬鹿ドライブにも、文句一つ言わずに付き合ってくれました。感謝、感謝。

実は、恥ずかしながら、ガードレールで車体右側を擦ってしまいました。別に対向車が来てたわけでもないのに、何故だか、右の方に寄り過ぎてしまったようです。傷物にしちゃって、ごめんなさい。

それにしても、こっちは燃料が高いのなんのって。だいたい、1リットル・260円です。無茶苦茶です。それに、日本ではガソリンより軽油の方が格段に安いのが普通ですが、こちらでは両者の値段が変わりません。むしろ、ほとんどのステーションでは、軽油の方が 若干 高めになっています。

まあ、いいです。今回は贅沢三昧の旅行にするって決めてたんですから。かなり“ノルウェーのオカミ”に吸い上げられたような気が しないでもないですが、“ニッポンのオカミ”に理不尽に持ってかれるより 余程 有意義なカネの使い方をしたと思ってます。


2008年6月30日(月)

9:00am CEST (4:00pm JST)

Sandefjord Lufthavn Torp (サンデフィヨルド空港)から、Amsterdamに飛んできました。あとは、成田へ行く便に乗るだけです。

……が、乗り継ぎで 7時間の待ち時間があります。どうやって時間をつぶそうか、考えているところです。


― 朝の無人駅 ―

サンデフィヨルド空港の最寄り駅、Torp です。駅舎も なんにも無しの 無人駅です。空港の玄関口で この扱いは すごいですね。駅前に、シャトルバスが一台、ぽつんと お客を待っていました(時刻は、朝の4時半です)。

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