ストックホルムの3日間


旅行 2日目 (6月25日 月曜日)

※これより先、写真が多く、重たいページになりますので、ご了承ください。

清々しい朝

目が覚めると窓の外に、とても綺麗な青空が広がっていました。その空に誘われるように、ベッドから這い出して朝食へ向かいます。

別棟に入っている食堂を見付けるのに少し迷いました。朝食はビュッフェスタイル(つまり、バイキング形式)になっていて、好きな物を好きなだけ取れます。中には名前の分からない食材や料理もあり、今ここでは詳しく書けませんが、とにかく満喫しました。

実を言うと、早く街へ出てみたくて仕方なかったんです。空は素晴らしく晴れ上がってるし。食堂の窓から見える建物も素敵だし。食事は早々に済ませて、荷物を担いで表に飛び出したのでした。

Langholmen島の水辺
Långholmen島の水辺には、住んでいる方々の船を舫っている場所が多くあります)

街を歩く

まずはやはり、旧市街地と呼ばれる Gamla Stan の街並みを見てみたいと思いました。昨日乗った地下鉄を逆に戻れば、4つめに Gamla Stan駅があるのですが、途中の街をすっ飛ばして行くのは面白くないので、歩いて向かいました。

Långholmen島から橋を渡って、きのう地下鉄を降りた Hornstull地区へ入ります。そして、どんどん東へ向かって歩きました。
Gamla Stan までは3km弱と思われます。大して時間も掛からないでしょう。

Hornstull の裏通りで Hornstull のアパートメント中庭 Sodermalm の坂(1)
Sodermalm の交差点
(↑道路の上にあるのは街灯です。両側の建物から電線を張って、真ん中に灯りを ぶら下げてあります。このやり方は、街の何処へ行っても同じでした)

日本から出て、こんな遠くに来たのは初めてでした。それだけに、街並みを歩いてるだけで楽しくて、見るもの全部が珍しくて面白くて。この辺りは、要するに、アパートメントが建ち並ぶ ごく普通の住宅街に過ぎないのですが、僕にとっては別世界に来たも同然で、こんな建物の中に自分の部屋があったら素敵だろうな、なんて思ったりもしました。
とにかくこれからの3日間、ほとんど歩いてばっかりいましたが、それだけでも僕は満足でした。

旧市街 Gamla Stan

Stadsholmen と呼ばれる小さな島の上に広がっている街が、旧市街 Gamla Stan です。

本によれば、ストックホルムの街の中で最初に出来上がったのがココ。今も、古い街並みが残っていて、歴史の息吹を感じ……と行く前は勝手に思っていたのですが、補修・修繕を かなりマメに行っているのでしょう、建っている数々の建築は、様式は昔風なのに、古臭さをあまり感じさせませんでした。伝統をそのままにしつつ直すべき所は直している、とでも言ったらいいか。
もちろん、今まで見たこともない街並みですから、あっちへこっちへと路地を行くと、次々に新しい景色が目の前に出てきます。ずっと感激しっぱなしでした。
これまでは人々の普通の生活空間の中を歩いてましたが、ここは立派な観光地でして、観光客の方々も沢山いました(ごくたまにですが、東洋の人とも すれ違いました)。でもどうやら、ここに住んでいる人は ごくごく普通の生活を送っているようで(当たり前ですが)、細い路地に入って ふと 窓を見上げたりすると、感じの良い電気スタンドが窓辺に置いてあったりします。
聞いたところでは、この地区に住む人は、やはり社会的地位の高い人が多いのだとか。「一軒家」ってのは無いですけれど。

Gamla Stan の風景(1) Gamla Stan の路地(1) Gamla Stan の風景(2)
Gamla Stan の路地(2) Gamla Stan の風景(3) Gamla Stan の路地(3)

自動車などない昔(14世紀とか15世紀)に出来上がっているので、全般的に路地が狭く、建物の影が道を覆っている所が多い街です。

そんな、ひしめく建物を縫う路地の中でも、極めつけが こちら↓

Gamla Stan の路地(4) Gamla Stan の路地(5) Gamla Stan の路地(6)

単なる建物と建物の間のスキマなんじゃないか、とお思いになるかもしれませんが、Mårten Trotzigs Gränd と名の付いた、れっきとした“通り”です(ちゃんと、通りに面した建物の玄関もあるんですよ)。
南側の入り口は さほどではないのですが、写真にある北側の入り口は、人が一人通ると いっぱいいっぱい といった狭さ。通りは、多分、運が良くないと日が差さないだろうと思います。
かなり有名な観光スポットらしく、僕が通り掛かった時、偶然、観光案内ツアーの一団が居ました。ガイドの女性の喋っていた言葉は、おそらくスウェーデン語でしょう。あの女性の言うことが少しでも分かっていたら、その薀蓄をここに書くところなのですが、残念ながら これだけです。

午前中いっぱい、Gamla Stan を満喫しました。700m四方ぐらいの狭い街なんですが、不思議と飽きの来ない所。

Gamla Stan の風景(4)
Stortorget の片隅のカフェには、くつろぐ人々が)


トイレ騒動 (2) − 公衆便所に入れない −

Gamla Stan をうろついていると、とある銅像の足元で公衆便所を見付けました。街並みの景観を壊さないように考えてるその作りに感心すると共に、ちょっと入ってみたいという好奇心が起きました(別に、もよおしては いなかったんですが)。

しかし。
入り口の扉の脇に、何やらコインの投入口みたいなものが。
但し書きを見ると、5krの硬貨を入れると扉が開くと書いてあります。
えー? 5kr? ろくに買い物とかしてないから、そんな小銭できてないんだけど。1kr硬貨5枚じゃダメすか? ダメみたいね。

欧米の諸国で公衆便所がチップ制を採用しているのは おそらく当然なのだと思いますが、使用硬貨を限定されちゃうと、来たばっかりのシロウトには苦しいものが。

〈ひとこと〉
 ストックホルムの街中を歩き回る際は、積極的に5krの硬貨を作りましょう。便所に入れません。
 (我慢できず、夕立のドサクサ紛れに公園の中で立小便をした男がここに居ります)
 まれに1kr硬貨5枚で入れる所もありますが、数から言うと そんなに多くないようです。僕は1ヶ所しか見掛けませんでした。


市中心部

午後は、まず、市の中心部辺りをうろついてみました。
両側にお店が建ち並ぶ賑やかな通りや、ビジネス街など。いわば丸の内や新宿みたいな位置付けの所だと思うんですが、不思議なことに、東京で少なからず感じる「汚らしさ」みたいなものが ほとんど ありません。人は沢山いるのに。

中心部の風景(1) 中心部の風景(2)
中心部の風景(3) 中心部の風景(4)
近代的な建物や、交通量の多い広い通りもあり。そんな一角に、綺麗に整備された公園もあって、仕事中なのか 買い物の途中なのか 散歩の途中なのか、ベンチに腰掛けたり 芝生の上でのんびりしたりしている人たちの姿があります。
そして水辺には、思わず目を奪われてしまう建物がズラリ。ストックホルムは、あまり日本ではそのようなイメージを持たれていませんが、「水の都」なのです。

途中、少しだけ雨が降りました。しかし、これが本格的な夕立の前触れであるとは、まだ気付きませんでした。
(いま、撮った写真を見てみると、けっこう空に それらしい雲が広がっていますね)

市街地に隣接した「国立公園」

それから、もっと東の方へ向かいました。
驚いたことに、市街地のすぐ隣が国立公園になっているんですね。Djurgården と呼ばれる島を歩いてみました。もちろん、ある程度は人が手を掛けているのでしょうが、元からある自然を あまり損なわないように配慮されているみたいで、感じが良かったです。写真で見て、お分かり頂けるでしょうか。通り道は整備されているのですが、その両側の野原の草は「伸びるに任せている」ところが確かにあります。
水辺の風景が、本当に優雅で。ぽつんぽつんと家が建っていて、その風景の中で午後のお茶の時間を過ごしている家族もいました(カメラを向けるのは ためらわれたので、写真はありません)。

Djurgarden の風景(1) Djurgarden の風景(2)

しかしこの辺りで、空が暗くなって来ました。時刻は、午後の3時ごろです。

夕立に遭う

で、とうとう雨が降って来ました。初めは何と言うことも無かったのですが、徐々に強まって来ます。周りは自然公園ですから、雨をしのげる場所というと、樹の下くらいしかありません。僕は、なるべく鬱蒼と枝が茂っている樹を探して、その下にしばし留まる事にしました。
草原に寝転んでいた人や、その辺で遊んでいた人たちも、傘を差したり雨宿りをしたりしています。皆さん、ほとんど慌てた様子がありません。きゃあ、雨だ雨だ。と急いで駆け出したりしないんですね。中には、傘も差さずに平然と歩いている人も居ます。雨ですら、楽しんでいるかのようです。

僕も、雨を嫌がってばかりいても仕方がないので、少し弱まってきたのを見計らって、街の方角へ戻り始めました。

Djurgarden の風景(3)
(写真では見えませんが、これ、雨がじゃんじゃか降っていた時に撮ってます)

そして、からりと晴れ上がる

Ladugardsgardet にて Norrmalm にて

で、二時間ぐらい降っていたでしょうか。そのあと、何事も無かったように雨が上がり、青空が戻って来ました。本当に、何事も無かったようでした。雨で空気がジメッとするかと思いきや そんな事もなく、かえって空気が爽やかになった感すらあります。歩いているうち、道路もいつの間にか乾いていました。

日本大使館
(↑近くまで来たので ついでに寄ってみました。これが、我が日本国大使館です。なんちゅうか、困ったことがあって駆け込んだら てきぱき事務的に片付けてくれそうな建物です。ま、こういう垢抜けないのが、我が国の良い所なんでしょう)

この日は、結局、夜の9時ごろまで町を歩き回っていたと思います。夜9時と言っても、日本での3時とか4時ぐらいの明るさがずっと続いているので、全然そんな感じがせずに。
部屋に戻ったのは、今度は僕の方が先でした。


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written by tardy@k.email.ne.jp